HIROSE COLLECTION

Artists

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Daniel Buren|ダニエル・ビュラン

1938年、パリに生まれる。

 

 1965年ころより8.7センチの種々の色で染め上がった布を用い、これを「視覚の道具」と呼んで建物、貧民街、駅、他人のポスターの上、旗、ヨットの帆など様々な場所に貼り付け、その場の意味を問うた。

 

 更にストライブを施した布、木材、ガラス、石、金属などを用い、視覚的構成的な彫刻を作った。その特徴として、形が決められたものではなく、場に応じて広がり形を変え、美術の概念を打ち破ったものであった。

 

 また、美術作品は作家から手を離れ画廊、美術館、コレクター、観覧者と変遷し最初に作家の手にあったものとは意味が異なってくるとして、美術界のあり方に疑問を投げかけ、人にストライブの看板を背負わせ町を歩かせたり、美術館、画廊から飛び出して外へ繋がっていくような作品も発表したりした。

 

 

その優れて哲学的、批判的、革新的作風は斬新な感覚を人に与える。

 

 1986年にはフランス代表としてベネチア・ビエンナーレに参加し「金獅子賞」を受賞、同年パレ・ロワイヤルに大理石で作ったストライブの作品を据え付け、一時時の人となる。1970年には東京都美術館で開催された「人間と物質展」に招待され、日本で始めて紹介される。

 

 

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A ROOM IN A ROOM(CABANE ECLATEES No.7)  部屋の中の部屋(7番) 1985 年

White & red linen, wood
Each element width: 70.75cm, Total height of the cabane: 215cm
Height of the doors: 180cm

 

 始めてダニエル・ビュレンの作品を見たのは、広島在住の現代美術の作家、殿敷氏の紹介で東京の画廊、かんらん舎へ行った時の事である。

 それまで現代作家の作品、特に外国の作家は名前も知らなかった。次々と作家の名前を挙げ写真を見せられた。いずれの作品も媚を売ってない、真摯な作品であり、強いメッセージ性のあることが分かった。

 早速、蒐集意欲が湧きあがったが、最初であるので色彩の強いものにすることにした。ジャンルック・ビルムートの「CUT OUT」とビュレンの「A ROOM IN A ROOM」を考えたが、ビュレンの作品は大きかったので次回とし、ビルムートの「CUT OUT」を購入した。かんらん舎の大谷さんはいきなり知らない人間が来て大きな作品を購入したので、かなり驚いていた。

 そして、この1年後に「A ROOM IN A ROOM」を購入することとなった。

    1988年3月にルーム イン ア ルームでここで展覧会をしたが、私の子供が作品の小窓から顔を出したりして遊んでいる写真をビュレンに見せたら、喜んでいた。小さい部品を隣の部屋まで飛ばした事も気に入っていた。


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Broken Glass(Mirror) 砕けたガラス(鏡) 1882年

材料:ガラス、間に白色のペイント

大きさ:217.5 X 217.5 cm以上


この作品は部屋の大きさにより8.7cmづつ限りなく大きさを増していく。作品が1つの大きさに限られるという概念を取っ払った作品である。


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Broken Glass 砕けたガラス(ガラス) 1982年

材料:ガラス、間に青色のペイント

大きさ:217.5 X 217.5 cm以上


この作品上記の作品と同じように部屋の大きさにより作品の大きさを増していく。


ビュレンは2回くらい我が家を訪ねてきた。一回は奥さんと共にきた。和食が大好きで連れていくと大変喜んで食べていた。

フランスに行った時はフランス料理に連れていってくれた。


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A Frame in a Frame in a Frame  フレームの中のフレームの中のフレーム 1988年

材料:塩化ビニールシート、ガラス、木

大きさ:可変

砕けたガラスと同じように8.7cmづつ拡大或は縮小する。


作品を規制しているフレーム、その外を覆っている美術館、さらにそれを規制している美術界、或は世界。美術のあり方に疑問を投げかけている、ビュレンの批判精神が表現されている。


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Untitled  無題 1972年

材料:白と赤の麻布にアクリルペイント

大きさ:208 x 141.5 cm

フランスのダニエル・タンプロン画廊から購入。1960年代からストライプのある布をキャンバスに貼付けた平面の作品を発表し続けている。ストライプだけで美術となりうるかの実験である。一番外側だけを白く塗りペインティングとしている。ビュレンの覚悟を示した作品である。


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Framed/Exploded/Defaced/ 枠にはめられた/解体された/外観をそこなわれた 1979年

Material:Aquatint 

25 individually flamed fragments

ed.46

Dimension:each 20.3x20.3cm

かんらん舎より購入。版画でありながら、部屋の大きさで作品が変化するという面白い作品。障害物があればそこは除かれるという指示がある。それによって作品がまた変わるので面白い。この頃の作品にはこういった仕掛けがあちこちにある。


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Title: Zu Unterstreichen  1989年

Material: 2 part paintings

Dimension: 96.6 x 96.6cm each

コンラッド フィッシャーより購入。ストライブのペインティングを色々な形に展開。ストライプだけで作品を構成するのは大変。


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Title: The Rotating Square In and Out of the Frame  1989年

Edision: 15/36

Material: 2 color litograph(4 panels)

Dimension: more than 115.6 x 115.5cm each,245 x 245cm overall

かんらん舎より購入。切断面が10度づつ回転し、全部で36通り360度回転するらしい。少し手詰まりになってきたか?